紙に印刷した文字の文化を尊ぶ 文章教室と自費出版の明眸社

福島の小児甲状腺がんの裁判

福島の小児甲状腺がんの裁判

はじめに  今、福島の若者六人が小児甲状腺がんの原因を巡って裁判闘争をしている。世の中の動きは原告の主張を否定し、被告の東京電力を擁護する方向に動いている様にみえる。  エッセイの会のMさんはこの事態に際して「しあわせになるための『福島差別 …

枇杷の実   芦川悦子歌集解説

枇杷の実 芦川悦子歌集解説

この歌集は長いタイムスパンの歌集である。私はこの度の出版にあたり微力ながら編集のお手伝いをさせて頂いた。芦川悦子さんが短歌を書き始めたのは一九九一(平成三)年で、すでに約三十年が経過している。第一歌集なのでやや多めであるが、五二四首を収めた …

高円寺の茶房ネルケン

高円寺の茶房ネルケン

 どういう風の吹きまわしか、私の所へ角川短歌から歌七首の依頼があった。一体何を詠ったら良いのか、考えてみた。丁度このごろ私のアタマの中でときおりカランとカウベルの音が聴こえることがある。それは茶房ネルケンのドアに付いていたカウベルではなかろ …

間鍋三和子歌集を読んで

間鍋三和子歌集を読んで

 最近、間鍋三和子歌集『流れる雲』(二〇二一年刊 第七歌集・不識書院刊)を読み、歌集の、そして短歌の一つの方向性を見出す思いがした。短歌を詠むとは一体何なのか。それが明確でないと自分にとっての作歌の継続は難しいような気がしている。すこしテー …

目黒・行人

目黒・行人

 十二月一日に「聖書百週間」があった。いつも目黒の駅から大岡山小学校行きのバスに乗って、碑文谷にあるサレジオ教会へ水曜日ごとに(第三水曜日以外)通っている。いつもこのコースである。九月に通い始めたのだがこの往還が楽しい。  まずバスは次々と …

迂回路の恵み

迂回路の恵み―出エジプト記と私の信仰                    私はカトリック碑文谷教会(東京都目黒区)にて「聖書百週間」の奉仕者をさせて頂いております。今読んでいるのは出エジプト記です。紀元前十三世紀頃の出来事を伝えています。 …

赦しについて

赦しについて

 最初に断っておかなくてはならないが、この文章はクリスチャンである立場で書いている。無神論者や他宗教の方には違和感を覚える表現もあると思う。またクリスチャンであっても必ずしも私と同意してもらえるとは限らないが、それは読者にお任せしたい。  …

今を生きる雅歌『ダスビダーニャ』を読む

今を生きる雅歌『ダスビダーニャ』を読む

                     孤独と病と貧困と  西巻真氏(一九七八年生)の歌集『ダスビダーニャ』(二〇二一年八月刊・明眸社)の冒頭から強く立ち上がって来たのは孤独と病と貧困である。私たちが生きるに必要なバリアーの喪失である。魂 …

〈王宮の花火の音楽〉を聴いた夜

居場所としての音楽 最近、自分の居場所というテーマで短文を書く機会があった。その時、「居場所」という言葉の空間性にとらわれることなく考えたら音楽も居場所といえるのではないかと思い到った。音楽は物理的な空間とはいえないが、想いを容れる広がりを …

歌集『飛島』を読む

歌集『飛島』を読む

この度、縁あって相澤尚氏の歌集の出版のお手伝いをさせていただいた。氏は長年の歌友でもあり、尊敬する氏の歌集の編纂をさせて頂くことは望外の喜びである。これまでの作品千八百首の中から厳選五四四首を編年体で編んだ。ここでは編年ではなくテーマごとに …